16.約束



※原作ベース、約束の日のお話になります。



「いい歳なんだから無茶すんなよ」
と言った所で、実の所自分より無茶する男が聞くとは思えないが一応声を掛ける。
「君に言われたくないなぁ」
それを分かっていながら知らん振りで肩を竦める男は、茶化すように返した。
「ったく、たまに人が心配してやったってのに・・・」
もう良い、と踵を返そうとして腕を掴まれた。
「んだよ」
「悪かったね。・・・ありがとう。君も無事で」
「・・・」
静かにそう言って笑う男に、急に胸騒ぎがする。
何だろう、このざわめきは。
「っ、あのさ、・・・アンタ本当に無茶すんなよ?」
掴まれた腕、彼の袖口をキュッと掴む。
「・・・どうかしたか?」
少し驚いたように見た男が、今度はこちらを心配そうに見てきた。
「・・・いや、別に・・・」
その正体が分からなくて、視線を彷徨わせて口篭る。
「・・・・・・・そうだなぁ。君がお守り代わりにキスしてくれたら強力な加護が付きそうなんだが」
不安そうにしていたからか、男がからかうように言った。
「は?!」
「ほら、私が心配なんだろう? ここに」
ニコリと笑いながら自身の唇をちょんちょんと差す男。
「な、テメ、ふざけんなよ!」
「君に関してはいつだって真面目だとも」
だから、本気でキスが欲しいんだけどなぁ、などとのたまう。
でも。
きっと、分かっている。
オレの心が不安定な事を分かっていて、こんな事を言っているのだ。

コイツはいつだって。
自分を差し置いて、人を優先する男なのだ。

だから。

「・・・おい」
「うん?」
面白そうな笑みを浮かべた男をグイと引き寄せて。
「っと、危な・・・!」
驚いたような目をした男の両頬を包み、少し乱暴にくちづけた。
「っは・・・」
一度だけ角度を変えて、自分からするキスとしては長いキスをする。
「・・・・・・・君・・・」
「してくれなかったから怪我をした、とか言われたら後味悪いからな!」
近い位置のままの顔が恥ずかしくて、そっぽを向く。
「・・・大丈夫だよ」
そう言って、緩やかな動作で腰を抱き寄せられ、優しく抱き締められる。
「絶対、君の元に帰るから。心配いらない」
「・・・おう」

彼の軍服をそっと掴むと、ポケットの中の約束の小銭の音が微かに鳴った。





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ロイさん危険フラグ立っていた頃に、危険にならないように!と
書いたお話でした。
・・・その直ぐ後の本誌で失明しましたがorz
ロイが対価を払うとしたら何だろう、と前に考えた時に、「目」だったので、
もしかして、と目を伏せた絵にしていました。

2010.10.17