「「は?!」」
二人の声が見事にハモッた。
「・・・もう一度言ってくれるかね?中尉。」
一足先に立ち直ったロイは副官に尋ねる。
「ですから、大佐とエドワード君のお部屋はこちらになります。」
「・・・各自この部屋とは随分豪勢だね。」
「いえ、そんな予算ある訳ないです。お二人のお部屋、と申しましたが?」
なけなしの可能性を求めてした問いかけはあっさり流された。
目の前には豪華なスウィートルーム。
スウィートでシングルなんて先ず聞かない。
「何で大佐と同じ部屋なんだよ!?」
ようやっと立ち直ったらしいエドワードが食って掛かる。
「私だって、折角の部屋を何故男と過ごさなければならないのだ。」
「大総統がお決めになりましたから。」
サラリとこれまた事務的に返された。
「男とスウィート泊った、なんてさすがは大佐、中々ない伝説作りますね。」
「燃やすぞ、ハボック。」
明らかに面白がってるハボックに険悪な表情を向ける。
「大総統から、お二人への褒賞だそうです。」
「いらん褒賞だ・・・。」
「全くだ・・・。」
一応聞こえないように小声で二人同時に愚痴る。
「マジ勘弁してくれよー・・・。あ!俺ソファで良いから少尉んトコ泊めて。」
ブツブツ文句を言っていたエドワードは、はた、と気づいたようにハボックに縋る。
「おうー、良いぜー。俺もまだ部屋見てねぇけど。」
大将程のサイズならどんな部屋でも問題ないだろうなー、と敢えて口にはせずOKした。
「やった!」
「・・・君は私は嫌がって、ハボックとの相部屋なら良いと言うのか。」
聞き捨てならん、とばかりに振り返る。
「あぁ?お互い良いだろ、その方が。寝る時までムカついてられっか。」
「君が勝手に突っかかって来るだけだろう。」
「アンタが嫌味な事言わなきゃ良いんだよ。」
「お二人ともお静かに。」
声のボリュームが上がって来た二人にホークアイが冷ややかな眼差しを向ける。
「全く、君が場にそぐわない態度を取るから中尉に怒られるのではないか。」
「アンタも大人だったら模範的な態度でも見せてみたら?」
「この部屋に合う素敵な淑女相手だったらともかく、君のような豆相手ではとても勿体なくて見せられないな。」
「誰が部屋に入ったら調度品の陰にも見えないようなチビか!!」
「お静かに。」
カチリ、と副官愛銃のセーフティーが外れる音。
「「・・・ごめんなさい・・・。」」
「まず第一に。
後ほど大総統が先ほどのパーティーで余り話せなかった分ご挨拶に見えるそうです。
よって、お二人揃っていらして下さい。」
「・・・それ終わったら別に出ても良いだろ?」
ロイ相手の時とは打って代わった様子でホークアイを見上げる。
いつも色々と兄弟を気遣ってくれるホークアイには姉のようなものを感じてしまう。
「・・・第二に。ハボック少尉の部屋は恐らく泊る余裕が無いのよ。」
少し背を屈めて、申し訳なさそうにしながらエドワードに応える。
「え?」
「どういう事っすか?」
ハボックも不思議そうな顔を向ける。
「・・・急に決まった事とこの大人数ではやはり部屋が全部取れなかったらしいの。
場所を替えればよかったのでしょうけれど、色々と条件を考えるとそれも無理でね。
だから、護衛の数も限られたでしょう?私たちのような尉官クラスのものは部屋は
エキストラベッドを入れて何人かで使うような形になるわ。
ハボック少尉の部屋が東方司令部のメンバーだったら良かったのだけど、今回は違うわ。
他の尉官達にとってはエドワード君は上官相当に当たってしまうから、
部屋の広さ以外にも色々と問題が出てしまうのよ。」
弟に含み聞かせるようにエドワードの目を見て、事情を説明する。
実際のエドワードの弟・アルフォンスは最初に連れていけない、と言われ、
東方司令部に置いてきた。
フュリーがホークアイの愛犬を預かっているから一緒に遊んでいる事だろう。
「・・・はー。成るほど・・・って、俺合い部屋??折角良いホテル泊れると思ったのに!」
残念そうに肩を落とすハボック。
「・・・もしかして、部屋が足りないから、これも相部屋って事?」
ありそうな可能性を問うてみる。
「その可能性もあるわね。聞いた所では他のスウィートは埋まってたらしいのだけど。」
それが本当なら、こんな軍人たちに周りを囲まれて、落ち着かないでしょうね、と苦笑する。
「そう言う訳ですから、大佐。」
「ふー、不本意だが仕方あるまいな。諦めろ、鋼の。」
「うぇー・・・。」
「折角だから、滅多に泊れない部屋堪能でもしてこいよ。・・・俺なんて狭い部屋に何人詰め込まれるか・・・。」
「丁度真下の階に部屋を宛がわれておりますので、何かありましたらお呼び下さい。」
軽く礼をして、ホークアイとハボックは去った。
取り残された二人。
部屋の前でお互い顔を見合わせ、お互い深いため息をつく。
2006/06/12日記