
「この年末はどうするんだね?」
また連絡もなくフラリと訪れていた小さな錬金術師を自宅に連れ帰って。
・・・連れ帰るまでにまた可愛くない態度でごねられたけれど。
その可愛くない態度が可愛いなんて思っていると、彼は気付いているだろうか。
「んーー・・・。どうしよっかな。」
食事も入浴も終えての穏やかな時間。
ゆったりとした部屋着に着替え、大きめのクッション(自分的には丁度良いサイズだが)に猫がじゃれつくように転がった彼に、笑みを零しつつ。
「また旅に出てしまうのかい?」
「何拗ねてんだよ。」
くくっと小さく笑う声。
今日の彼は余り機嫌が悪くないらしい。
「そりゃあね。1年に一度しかない年越しを恋人と過ごしたいじゃないか。」
「恋人とかゆーな。」
想いが通じてから1年と少し。
逢瀬の度には想いを言葉に乗せているのに、相変わらず初心な彼。
プクリ、と照れ隠しのように唇を尖らせる。
「コラ。」
その唇に思わず唇を寄せると、突っぱねられる。
「酷いじゃないか・・・。」
奪い損ねた唇に、未練がましく指を当てる。
撫ぜると柔らかい弾力。
それを咎めるように目を細めて、やんわりとなぞっていた手を外す。
残念そうな顔をしたらしい己に、可笑しそうに笑みを浮かべて。
「良い大人が情け無い顔すんなよ。」
「恋人が余りにも冷たいからだよ。」
そんな私の言い種に、ははっと声にして笑って。
ふわり、と生身の方の手を伸ばし頬に触れてくる。
「ダメな大人だな。寂しい訳?」
「寂しいさ。」
甘える様に、彼の掌に擦り寄る。
「うわ、即答だよ。」
「君との時間を惜しむのは勿体ないからね。」
「開き直るし。」
「開き直ったんじゃなくて、本心を告げたまでさ。」
払われない事を良い事に調子に乗って、掌にキスを落とす。
しかし。
さっと、手が逃げ出して、軽くピシリとデコピンを食らう。
「痛いじゃないか。」
「はははっ。」
逃げられた手にむぅと軽く眉をしかめたら、
寝転んでいた猫が伸び上がって額にちゅ、と可愛らしく唇を寄せてきた。
驚いて僅かに目を見開くと、悪戯が成功したかのようにニヤリと口の端を上げて
「しょうがねぇから居てやるよ。」
楽しそうに笑った。
その優しい顔に、今度こそ唇を奪った。
2006/12/22日記