An ease and warmth


夜中に重みで目が覚めた。

「・・・?」

うっすらと目を開けると、暗い室内。未だ夜が明けて居ない事を示した。
視線だけ彷徨わせると、最近では見慣れた調度品。
(あぁ、そう言えば夜遅くに着いたんだっけ。)

雪のおかげで遅れた列車。心身ともに冷えた身体で恋人の家のドアを叩いた。同じように遅れた人々で宿がいっぱいだったのだ。
司令部の仮眠室に泊ろうと思ったら弟に止められた。機械鎧の調子の悪さを見抜かれていて。
慌しい司令部より男の家に行け、と半ば強制的に送り込まれた。確かに夜勤の軍人も多いだろうから仮眠室を使うのは申し訳ない。男との間柄を知っている弟は、躊躇う隙も与えず自分は除雪作業でも手伝って来る、とさっさと置いて行ってしまった。
そして深夜に現れたにも関わらず驚くどころかむしろ冷え切ったオレを見て大変だ、と狼狽した男が慌てて風呂を用意して暖かいベッドに寝かし付けたのだった。

そんな記憶を辿りながら、重みの正体に気付く。
ロイの腕だ。
ベッドに連行された時は未だ仕事をしていたから、途中でもぐり込んで来たのだろう。
勿論彼のベッドだし、一応恋人同士だから否やは無い。

背中から暖めるように大事なものを守るように、ぴったりと抱き締めてくる両腕。
モゾ、と身じろぎしたが力は緩まらない。
でも耳元では穏やかな寝息が聞こえる。
それに小さく笑って。

以前にハボックに聞いた事がある。仮眠室で寝込みに悪戯を仕掛けたら見事返り討ちにあった、と。
軍人の性で軍人は気配には敏感であるが、ロイはやたらと敏い、と。本人に訊いたら、「昔からどうしても熟睡が出来ないみたいだ。軍人に向いていたようだな。」と苦笑されながら返された、と。「俺は軍部に居る以外はさすがにソコまで敏感になって寝てねぇや。性質だとしても、ずっと何にそんなに警戒してんだろうな、大佐」とハボックが寂しげに笑った。

(気配に敏感なんじゃなかったのかよ)
抱き締めて来る腕をそっとなぞる。だが、寝息は一定のリズムを保ったままで。
自分に安心を与えてくれるように、自分も安心を与えられているのだろうか。
安眠を破らない程に、暖かい場所を与えてあげられている存在なのだろうか。
(・・・そうだと良いな・・・)

柔らかな呼吸に引き込まれるように、自身も再び眠りの世界に堕ちていった。


2008/01/27日記

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SLEEPの対みたいになっちゃった。

2008/03/30