※未来捏造デス。
「今日からエルリック”中佐”だな。おめでとう」
「アンタに言われると嘘くせぇな」
執務室にて拝命証を渡す。
「細かい規約は勝手に読んでくれ」
「・・・相変わらずだな。仕事しろよ給料ドロボー」
受け取りながらそんな事を言う。
最初に軍属になった時もこんな会話をした。
もう何年も前の話だが。
「正装には慣れたかね?」
「動き辛くって仕方ねーよ」
鬱陶しそうに、式服の長い裾を足で捌く。
「仕方あるまい。これから授与式なんだ」
「めんどくせぇなぁ・・・」
「功績が沢山あるからの昇進だよ。大人しく褒賞貰ってこい」
自分の配下に正式についてからもトラブル体質と言うか、本人曰く向こうの方から勝手にやってくる、と言う事件を片っ端から片付けた為に、短期間での昇格となった。
「別にいらねぇんだけど」
「まぁ君が使わないのなら、今夜の呑み会に当ててくれたまえ」
昇格を祝って、今宵はいつものメンバーでささやかな祝杯の予定があった。勿論アルフォンスも呼んである。
「オレの得ねぇじゃん!殆どハボック中尉に呑まれるに決まってる!」
「そうだろうな」
苦笑するとそれでも楽しい会が好きな彼は、まぁ良いけどさー、と呟いた。
「それにしても式場出なきゃダメ?やっぱ」
「当然だろう。そんなに嫌なのか?」
堅苦しい事が嫌いなのは知っているが、さっきからやたら渋っている。
「だってよー・・・あんな若造がとか、子供がどんな技使ったんだ、とかうるせーんだもん。・・・昔からだけどさ」
「あぁ・・・察するよ」
自分も異例の早さ、と言われた階級だ。童顔もあってよくそんな中傷は受けて来た。
エドワードも昔に比べたら背も伸びたが、実質若いし、見た目も中性的なせいか実年齢より若干幼く見える。
「髪でも上げたらどうだね?多少は変わるぞ?」
「・・・正装時のアンタみたいに?」
「整髪料を貸してやろう。来たまえ」
「・・・テメェみたく胡散臭くならなきゃ良いけど」
文句を言いながらも気にしているのだろう、大人しく近寄って来た。
「ほら、やってやるから少し目を閉じていろ」
「ん」
半端に伸びたエドワードの前髪を手に取り、少しずつポニーテールにしている髪の流れに馴染ませていく。
入りきらない短い髪は少し額に残ったが、これで多少は大人っぽくなるだろう。
「ほら、良いぞ」
「ん」
ゆっくりと目を開いて。
「・・・」
「な、鏡ねぇ?」
「・・・やっぱり戻すか」
「は?何で?!」
折角やったのに!と驚く彼に。
「・・・余り似合わん」
「何だと!テメェがやれっつたんだろうが!」
「良いから戻すぞ」
「ちょっと待てよ。一回見てから・・・わぷっ」
鏡を探そうとした彼の後ろ髪を引っ張り、前髪をかき混ぜた。
「あーーっ!何しやがんだっ!」
「あぁ、すまない。力が入りすぎた」
「くっそー。髪結わき直しじゃねぇか・・・」
ブツブツ言いながら、金糸を解いた。
サラリ、と広がる黄金の波。
器用に一纏めにしていく姿を見つめながら。
(・・・前髪を上げたら美貌に色気が増したな・・・)
それこそ違う意味で目立ってしまう。
アレは自分だけのものだ。
見せてなるものか、と心に決めた。
2008/05/22日記