いつもの様にロクにノックもせず執務室の扉をくぐる。 「ちわっす」 「・・・もうちょっと品のある挨拶は出来ないかね?」 些か脱力したような上官は定位置のデスクチェアでは無く、来客用ソファに居た。 「? 客でも居たのか?」 「市長殿がね。ついさっきお帰りになったが」 「へぇ」 トントン、と資料を揃えながらロイが着席を促す。 「失礼致します」 座った所で、ホークアイがお茶を持ってやってきた。 「どうぞ」 「ありがとう、中尉」 軍には普段置いていないと聞いた、ホークアイ私物の紅茶を出されて、その心遣いに礼を言う。 「どう致しまして。熱いから気をつけてね」 「うん」 柔らかい笑みを向けてくれる彼女に笑って返して。 退室を見送った。 「何?」 「いや」 視線を感じて顔をあげると、何でもない、とこちらはコーヒーを啜る男が居た。 「あ、報告書」 そうだ、と本来の目的を果たそうとしてトランクに手をやろうとしてサイドテーブルが目に入る。 「・・・何、この箱」 「あぁ。市長が土産に、とくれたんだ。何だろう」 ロイも今思い出したように、仕事の邪魔にならないように脇に置いていた箱を開ける。 「・・・プリン?」 「フォレストのプリンだ!」 箱の中には綺麗にデコレーションされたプリンが鎮座していた。 「有名なのか?」 「有名かは知らねぇけど、行列が出来てるのを見たことある」 「ほぅ」 「知らないの?」 「甘いものは得意じゃなくてね。レストランなら大体把握してるが、デザート系は余り・・・」 女性が好みそうなものなら知っていそうなロイが知らないとは珍しい。 「アンタでも知らない事あるんだな」 「そりゃあね。行列が出来る、と言う事は美味しいのかな」 「さぁ。食った事はねぇからソレは知らねぇや」 甘党のエドワードとしてはいつも並んでいて気になるものの、そこで時間を掛ける程のグルメではない。 「・・・食べるかい?」 「良いの?!」 ロイが箱から1つ取り出して備え付けのスプーンと共にエドワ ードの前に置いた。 「どうぞ。私は得意じゃないから食べると良い」 「やった! じゃあ遠慮なく」 思わぬ所で得られたデザートに手を伸ばすとロイが笑った気がした。 「お味は?」 「美味い! やっぱ行列できるだけあるなー」 口の中に入れるととろける絶妙な卵と牛乳の割合。 「それは良かった」 「おう。サンキュ!」 「・・・どういたしまして」 本来はロイにと渡されたものを貰ったので一応礼を言うと、彼は一瞬目を瞠って、コーヒーを啜った。 →next
2008/09/07〜2008/09/14日記
********************************************************************************** スウィーツ話。 続きます〜。
2009/02/01