ハッピーニューイヤー2009


「うわ」
「すごいな」

新年。
年始の願掛けだと言う『初詣』と言う行事が流行っている、と言う事で、視察ついで(兄弟はそのまま連行された、とも言う)に訪れた『神社』。
さすがに流行り、とだけあって、境内はもの凄い人だった。

「・・・これ、行くの?」
「・・・まぁ、折角来たんだ。ハボック、先導切れ」
「オレっすか?!」

有無を言わさない上官命令に、えぇー?と言いながらもユラリ、と大きな身体を動かす少尉。

「ボク、ちょっとこれは危ない気がするから待ってるよ」
弟が、うーん?と言う風に自身の身体と人ごみを見比べてから言った。
「アル・・・」
「兄さん、ボクの分まで祈って来て?」
些か落ち込んだ声で兄が言ったのが分かったのか、弟はね?と可愛く首を傾げた。
「あら。じゃあ私もアルフォンス君とお留守番してようかしら」
「中尉、そんな」
「私も人ごみはちょっと苦手なの。もう少し空いた時期に一緒に行きましょう?」
ホークアイがニッコリ言うと、兄弟揃って嬉しそうにはにかんだ。
「よっしゃ、じゃあ先ず兄ちゃんがお前の幸せ祈って来てやるな!」
「自分の事で良いよ〜」
「うんにゃ!」
兄弟愛が繰り広げられている中、ロイはエドワードの首根っこを掴んだ。
「ほら、ハボックを見失うぞ」
「首掴むな!」
「アルフォンスの願いは私が届けてこよう」
「オレがやるっての!」
ニコリ、とロイがアルフォンスに向かって言うと、エドワードがキーッ!と噛み付いて来た。
「君は自分の身長の願掛けでもしたらどうだ?」
「んだと!」
「まぁまぁ、行って来るよ。では中尉、後で」
「はい」
「兄さーん、身長祈って来て良いからね〜!」

弟まで酷い声援を送って来るのを背中に聞きながら、人ごみの中を進行した。



「・・・やっと着いたーーー!」
「長かったな」

ふぅ、と隣でも溜息をつく声。
「後がつかえている。ほら、賽銭」
チャリン、とエドワードの小さい手に硬貨を握らせる。
「自分のあるっての」
「それはさておいて、早く投げなさい」
確かに後続が続々と押し寄せて来ているので、ぱぱっと、狙いを定めて硬貨を投げ入れた。

パンパン。

拍手を打って、祈りを捧げる。
エドワードは、取り敢えずは弟が元に戻れますように、と後でこっそり身長も付け足した。
ソロ、と目を開くとロイは未だ目を閉じていた。

「・・・」

エドワードはもう一度目をつぶって、1つお願いを追加した。

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「わわっ」
「っと」

最前列から抜けて、元の場所に戻ろうとしたものの。

行きの一方通行の流れに身を任せていた時と違い、逆流は難しかった。

「ぐへ」
「鋼の?」
悲しいかな、背が小さい為にエドワードは人ごみに流されてばかりであった。
「ちょ、っと苦し・・・」
「鋼の、こちらへ」
またも人ごみに流されかけていると、グイ、とロイに左手を引っ張られる。
「わっぷ」
「大丈夫かね?」
ロイに引き寄せられ、やっとエドワードは足元が落ち着いた。
「ひっでーな」
「全くだな。とっとと抜けよう」
「おう」
早いところ抜けようと、歩き出して。
手が繋がれたままだと言う事にエドワードは気付いた。
「大佐っ、手!」
「うん?」
「や、だから・・・」
何でか直接言うのが恥ずかしくて、エドワードはゴニョゴニョと語尾を濁す。
「手? あぁ・・・」
ロイは合点が言った、と言うように繋いだ手を見遣り。

「・・・このまま、で」
「え?」

ぐ、とさらに繋いだ手に力が籠もるのに、エドワードはロイを見上げた。

「また流されてしまうだろう? ほら、おいで」
「わ、ちょっと・・・」
手を引かれて、さらにロイの身体に寄せられ慌てる。
「良いから」
「・・・しゃーねーな」
低い気温にほのかに暖かい繋がれた手。
隣のロイをチラと見上げながら、口の中だけで笑う。
ロイもまた、チラ、と金色の旋毛を見下ろして、小さく笑った。


「兄さんお帰りーー」
「大変だったぜ。でもお前の幸せ願って来たぞ!」
「ありがとう」
「エドワード君、暖かいお茶あるわよ」
「中尉ありがとー」

無事全員合流して、神社を出た。


弟と話しながら、左手を握ったり開いたりして。

副官と話しながら、コートのポケットの中の手を緩く握って。


2人が追加した願い。



『今年はもう少し、近づけますように』


2009/01/01日記

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2009年新年一発目のロイエド話でした。
エドさん13歳位なイメージで。
なのでちょっと幼い感じです(笑)。

2009/03/24