まだまだ。




「珍しい」

執務室に入ると司令官殿がソファで寝ていた。
人が入って来ても起きる様子も無い。

(何か忙しかったらしいけど)

執務室に入る前の、彼の副官の苦笑した顔を思い出す。

(仮にも軍人なんだから)

大丈夫かよ、と心の中で呟いた。
近寄っても、瞼は下ろされたまま。
狸寝入りでもなさそうなのが、深い眠りの雰囲気で分かる。
近くで見ると、まぁ確かに端正な顔をしている。
普段意図的に柔和な顔を浮かべているのか、笑みを浮かべない閉じられた口許に、彫刻のような印象を受けた。
季節的に暑いのか、はたまた寝苦しさからか上着は無造作に置かれ、シャツのボタンが少し緩められている。

「・・・」

普段キッチリとしている軍服からは分からない、案外太い首元と綺麗に浮いた鎖骨が見えた。
シャツの合わせから覗く、胸筋に続きそうな滑らかな、ライン。

「・・・」
「う・・・ん」
「!」

ロイが小さく声を出したのを合図に、エドワードはビクリとして、脱兎の如く執務室を後にした。


廊下の先で。
「な、何だ?」
赤くなっているだろう顔を押さえたエドワードがしゃがみこんだ。

所謂「色気を感じた」、と気付く事になるまでは未だ時間の掛かる少年であった。

2009/06/28携帯日記

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まだ純真な兄さん(笑)。

2009/09/21