「おい・・・」 「・・・」 「おい」 「・・・」 「おい!」 「ん?」 「ん?じゃねーよ!いい加減離せよ!」 「イヤだよ」 先ほどちょっとこちらに、と、執務机の向こうに手招きされて、迂闊にも近寄ったら椅子の上・・・正確には男の膝の上に後ろから捕獲されてしまった。 「〜〜〜っ外れねぇ・・・!」 「それはそうだろうねぇ」 腹の前で組まれた手。 見た目は軽く組まれているのに、一向に離れる気配が見えない。 「っっだよ、くっそーーーーー!」 グギギと両手で力を込めるが、ピクリともせず。 「どうなってんだ・・・っ!」 「私の愛情の強さかな?」 すっとぼけた声が聞こえ、調子に乗った男が頭の天辺に口付けを落す。 「執念深さじゃねぇの・・・っ、っだーーー!」 「まぁ頑張りたまえ」 はっはっはっとムカつく爽やかな笑い声。 「やかましぃ・・・っ!」 「君も同じ位の愛情の強さで臨めば外れるかもしれないぞ?」 楽しそうに今度は耳元に囁いて来る。 「・・・・・・・・・」 それに、外そうと男の手に掛けていた己の手の力を抜いた。 「鋼の?」 「・・・・・・・・・」 「・・・・・・鋼の?」 「・・・・・・・・・」 少しからかい過ぎたか?と少しだけ焦りを滲ませた気配が背後からする。 「・・・違う」 「ん?」 「・・・そうじゃなくて」 「え?」 ポツリと呟くと聞き返して来る声。 それに、出来るだけ拗ねた、甘えた口調で声を紡ぐ。 「・・・後ろから、じゃなくて。・・・・・正面から、抱き締めて、欲しい・・・のに」 「!」 ピクリとする男の手。 「だから・・・」 「そうか、そうだな」 いそいそと腕の中のオレの向きを変えようと手を解く。 キラリ。 と目を光らせた。 「あ」 「じゃーな、エロ大佐!」 一瞬の隙に抜け出して扉まで移動して。 「あ」の字で口を開いたままの男に「いーっだ!」をしてダッシュした。 走ったせいではない赤い顔を撫でて。 あの男は愛情表現がストレート過ぎる。 彼が簡単にしてくるスキンシップは、いつだってこちらを翻弄して。 ―――「抱き締めて欲しい」だなんて。 ・・・こんな台詞も甘えた口ぶりも、演技でも嘘でも、とてもじゃないけれど出せやしない。 あの男じゃなきゃ。 それを分かっているのだろうか。 男の言う「愛情」とは違うけれど、これが自分なりの「愛情」なのだ。
2009/09/25携帯日記
********************************************************************************** 分かり辛い愛情表現(笑)。 ・・・分かり辛い表現ですみません_| ̄|○
2010/02/11