★  イロコヒ ★


* 春の嵐 *

「鋼の、待たせたな」
ガチャ、と執務室のドアを開け。
普段全国各地を旅している鋼の錬金術師が久方ぶりに司令部にやって来たのが2時間前。
丁度入れ違いの様に軍議の開始時刻だったが為、文句を言ってきた子供に「連絡しない君が悪い」と注意しつつも最近手に入れた私物の錬金術書を暇つぶしにでも、と渡して執務室を去った訳だが。
「?」
通常なら頗る回転の宜しい頭脳から次々と生み出される罵詈雑言が来るだろう(そもそも自身の仕事部屋であるのに、何故我が物顔で偉そうにしているのだろうあの子供は)、予想をしていたが返事が無い。
これは飽きて何処かへ移動したか、はてまた先程渡した本に集中しているかだな、と室内を見渡すと応接ソファの後ろから動く気配のない金色の頭の天辺が視界に入る。
(これは読書中かな)
史上最年少で国家錬金術師の資格を得たエドワードは、勿論天性の素質・天才と呼ぶに相応しい頭脳を持っていた訳だが。人間それを持っているだけでは開花はしない。彼が今の地位にいるのはその飽くなき探究心を高めて自ら努力をした賜物であるのだ。
エドワードは天性の天才でもあり、努力型の天才でもあると思う。
そんな彼の読書の集中力は半端ない。
彼の弟に話は聞いていたものの、実際目の当たりにした時は驚いたものだ。
さておき。
急ぎの仕事はないものの、ずっと本の世界に入られても困る。
「鋼の」
後ろから声を掛けた。
が、やはり無反応。
今度は近くに寄って少し大きめに声を掛ける。
「鋼の」
無反応。
仕方ない本を取り上げるか、と前に回って。
「・・・おや」
返事をしない訳だ。
彼は膝の上に本を置いたまま、ソファに凭れて眠っていた。




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2008年9月28日Comic City SPARK3
ROYxEDO EXPO 発行。

四季を通した二人。
その折々で会話が増える度にお互いの最初の印象が変わっていき、惹かれあう。
エロスは割愛してしまったので(笑)、
最後のオマケ?話が、当社比甘めデス(笑)。

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