★ キミの声を傾聴中! ★
12月31日。
「エドワード君、こんばんは!」
世間一般的には『大晦日』と呼ばれる日。そんな今年も残り僅かだね、などとゆったり過ごすであろう夜に、彼…ロイ・マスタング警視正はやってきた。
「…こんばんは」
目の前の男に、とりあえず返事をする。
「あ、マスタングさん、こんばんはー」
「アルフォンス君もこんばんは!」
「こんばんー」
「あれ? ハボックさん。こんばんは」
ロイの後ろから、彼の(元、らしい)部下のハボックの長身も見えた。
「ちょ! エドワード君! 私の時には気の無い挨拶だったのに、ハボックの時は何故そんな・・・!」
この世の終わりのような嘆き方をマンションの玄関先でしないで欲しい。近所迷惑だ。
ロイを綺麗に無視して会話を続ける。
「どうしたの?また何か巻き込まれたの?」
「いや、今回は自主的だ」
いつも可哀想な位にロイに巻き込まれる彼に聞いてみるが、今回はそうでもないらしい。
「あ、玄関先もなんなんで。寒いでしょ。どうぞ」
「おい、何故オマエが私よりエドワード君と会話をしてるんだ!」
「人徳じゃないっすか?」
入室を勧めた所これまたロイが口を挟んで来たのに、ハボックがしれっと答える。
「…マスタングさんもどうぞ」
「ありがとう!エドワード君!」
色々メンドウなので、ロイにもスリッパを出して入室を勧めると途端に機嫌が直った。分かりやすい…。
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「―――で? 何?」
熱いお茶と、お茶請けに作った芋羊羹を出す。お節に入れる栗きんとん用のサツマイモが余ったのだ。
「何?とは冷たいな! 大晦日に初詣デートの約束をしていただろう!」
「………あぁ」
そう言えば。
今思い出した、と言う顔をしたら、その表情を読み取ったかロイが寂しそうな顔をした。
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2011年5月スパコミ発行。
警視正・ロイ&高校生・エドシリーズ第3弾。
サイトに掲載した季節ごとの短編に加筆と描き下ろしの混合構成です。
(ページ比率的には半々位です)
震災後に色々と心境が落ち着かなかったのですが、
少しおバカで明るい話でも!と書かせて頂きました。
この本は読者の皆様の優しさで出来ております(合掌)。