★ 雪の降る夜に at snowy night ★
「君の事が好きなんだ」
1年前のある雪の降る夜。
自分の上司である男、ロイ・マスタング大佐にそんな事を言われた。
「…え?」
言われた意味が分からず、いや言葉の意味自体は分かるけれども、その言葉が持つ本心が分からずにエドワードは聞き返した。そして、その聞き返しの意味が分かったのだろう、ロイがもう一度告げた。
「エドワード・エルリック、私は君が好きだ」
主語と述語と目的語と、順番は滅茶苦茶だったけれど、きちんと揃えて、ロイはこちらを真っ直ぐ見て再び告げた。
「…そう」
「あぁ」
ロイの言葉に対し、分かった、と一言、エドワードは肯定した。それから静かな、間。
「…怒らないのかい?」
ロイが静かに問うた。
「え?」
「何を冗談言ってるんだ、とか、そんな気はない、とか。聞かなかった事にする、とか」
余り静かだと、告白した事が無かったような気になるね、とロイの方こそ告白した後とは思えない位、緊張の空気も無く静かな空気をまとっていた。
「だってアンタは本気だろ?」
「うん?」
「アンタは口が上手い印象あるけど、余計な事は言わないし、リスクになるような冗談も言わない」
「ふむ」
「…仕事上そうだけど。プライベートはもっとそうだ。プライベートのアンタは大事な事ほど殆ど言わない。だから決心して言った本当の言葉だろ? それに対して冗談とは思わない」
この男は飾った言葉に本心を隠す。秘めた事は墓まで持って行く、そんなタイプだ。だからこそシンプルな言葉を嘘だとは思わない。
「一応、信用はしてるんだ」
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2011年12月冬コミ発行予定。
ロイ→エドから始まる馴れ初め&くっつくまで。
四季を通してやり取りをする二人。
冬の本恒例(笑、)静か〜な感じのお話です。