★  He who is low blood pressure 〜低血圧な彼〜 ★




Side:Edward


 ―――意外性に驚いた。

「あ、エドワード君!」
 新しい資料が入ったとの事で、朝早くに司令部を訪れ廊下を歩いていると、後ろからホークアイの声が響いた。
「中尉? おはよ」
「おはようエドワード君。あら、アルフォンス君は?」
 いつも一緒の弟がいないことに、どうしたの?と問われる。
「アルは先に図書館行ってるんだ」
「そう。エドワード君はこれから執務室?」
「うん」
 ニッコリと笑いかけてくれる彼女にこちらも笑顔で応えた。
 髪を綺麗に結い上げキリリとした佇まいの彼女は、朝の空気にとても合っている。しかしそんな彼女が大きな声で呼び止めるとは珍しい。
「どうかした?」
 朝からテロの予告とか悪い話じゃないと良いなと思い、声を潜めてホークアイに聞いてみる。
「あぁ何かあった訳ではないから大丈夫よ。ただ悪いんだけど、執務室に行くなら大佐を起こしておいてくれないかしら? この後に軍議があるのだけど、色々と予定が変わって準備に手間取っていて」
 こちらの表情を察してか、安心させるように笑ってから申し訳無さそうな顔する彼女の手には、軍議用と思われる重そうな書類の束。
「何、大佐はサボって居眠り?」
 副官である彼女がこんなに朝からテキパキと働いているというのに大佐は眠っているのか、と呆れた声を出すと、
「違うのよ。しばらく立て込んでいて殆ど眠っておられないの。二時間だけだけど今のうちに休んで貰っているのよ」
 ホークアイが困ったように笑った。
 二時間だけ休憩で今起こさなければならないとなると、明け方まで働いていた、と言うことになる。
「・・・ふぅん。意外と働いてたんだな」
 どうもサボっている印象が強いので、素直にお疲れ様と言う言葉は出し辛い。
「意外とね」
 ホークアイも普段の姿からか、クスクスと笑った。しかしそこでハタと気付く。
「あ、じゃあオレも行かない方が良いんじゃ」
 そんな忙しい中でも休憩を取らせたと言う事は、この後の仕事も立て込んでいて体力回復をさせようと言う事なのだろう。そこに行って大丈夫なものなのか、と考えていると、
「ううん、大佐には寝ているうちにエドワード君が来たら起こせと言われていたから大丈夫よ」
 ホークアイが笑った。
「へ」
そんな中でも自分が来たら起こせと言うのは、・・・多分、貴重な資料だから無断持ち出しはダメだとか・・・そんな事、なのだろう。
「本当は私が起こしてからエドワード君を通さないといけないのだけれど、ちょっと手が離せなくて。申し訳ないのだけれど、丁度起こす時間でもあるからお願いしても良いかしら?」
「あ、うん」
 普段お世話になっているホークアイのお願いに否やは無い。頷くとありがとうと言われ。
「えぇ、今行きます。―――じゃ、お願いね」
「了解」
 前半、廊下を走ってきた下士官に答えて、後半はこちらに声を掛けてくるホークアイに行ってらっしゃいと手を振る。
 しかし歩き出そうとした彼女は、ふいに振り返りこちらをジッと見てきて、
「・・・・・・ごめんなさいね?」
 そんな事を言ってから、去った。
「・・・うん?」
 何だろうと首を傾げて、まぁ良いかと執務室へ向かった。




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2010年11月07日 大豆*気分3 発行。

ロイさんは低血圧だろうと始めた日記SSを元に、
エド編、ロイ編、ロイエド編の3部構成です。
割とまったりしたお話。

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