★ The Great Escape ★
「何だよ何なんだよ! ここの司令部は暇なのか?!」
午後の東方司令部。
金色の豆、もとい鋼の錬金術師・エドワードが執務室に怒鳴り込む。ドアが壊れそうな勢いだ。
「…色々と注意事項はあるが、とりあえず暇なわけあるか」
迎えた男は奇襲に驚く様子もなく、淡々と(珍しく)書類を捌きながら手短に答えた。
「だったらなんだよあの連中は!」
執務机まで床を踏み鳴らしてズカズカと入り込み、エドワードは机をバンと叩く。そこで男―――東方司令部の実質司令官でもあり、焔の錬金術師でもあり、エドワードの後見人でもある、ロイ・マスタングは、サインを終えた書類をスコンと決済箱に入れてから、ようやく顔を上げた。
「連中?」
切れ長の黒い瞳が、何の話だ?と問いかけて来た。
「テメェのとこの部下連中だっ!」
「部下? …あぁ」
ロイはその短い言葉の中で合点が言ったと言うように、声を洩らした。
しばらく旅に出ていたエドワードが久々に司令部に訪れると、何故かやたらキラキラした目の門衛に迎えられ、廊下を歩くとやたらソワソワした下士官に(知っている執務室への道を)案内されかけ、それを断って歩いていたら今度は外で演習中の輩に手を振られ(何か知らんがどよめきも立っていた)。
全くもって意味は分からないが、とりあえずイチイチ騒がれるのが非常に鬱陶しい。
「何か写真も撮られた気がする…。何だよアレ…」
「君の親衛隊らしいぞ」
グッタリとして言うと、ロイが頬杖を付いてやる気なさそうに理解不能な事を言った。
「はぁ?!」
親衛隊? 何だそれは。
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2011年8月グッコミ発行予定。
原作ベース15歳位の兄さんと大佐。
親衛隊に追われるエドと、ヤキモキするロイさんです。
元プロット作成日は1年前でおののきました。時の経過…。
夏なのでR要素を少し強めました(笑・当社比)。