★  Trick or Treat! ★




「しかし祭と言うのは良いものだね。こう賑わいがあって」
「そんな事ばっかに全力注いでいないで、仕事しろよ。給料泥棒」
 楽しげに言うロイにエドワードが悪態をつくが、男は堪えた様子もない。
「こうやって巡回しているじゃないか」
 ハハハと笑うロイに、エドワードは半眼を向ける。
「さっきからオンナノヒトに愛想振りまいているだけに見えますケド」
「何だね、妬いてくれるのかい?」
「ばっ、んな訳ねーだろ! 護衛が必要だとか言ってんだったら浮かれてんじゃねぇって事だ!」
 心なしかニヤけた顔をしたロイに全否定するが、
「そりゃ浮かれるさ。護衛と言う名目で君と堂々とデートが出来るからね」
「!」
 またそんな事を耳元で言われ、うっかり黙ってしまった。
「照れ屋で可愛いなぁ」
「うるせぇっ!」
 心なしか鼻の下を伸ばした様子のロイをグイグイと押しやっていると、
「トリックオアトリート!」
 ロイの部下である万年彼女募集中のハボックから見たらただいちゃついているだけにしか見えない二人の後ろから、小さな子供たちがワラワラとやって来た。どの子も魔女や絵本のキャラクターと言った可愛らしい仮装をしている。
「マスタング大佐だー!」
「吸血鬼だ!」
「かっこいー!」
 子供たちはロイの顔が分かるらしく、お決まりの文句の後に口々にそんな事を言った。
「ハッピーハロウィン! 可愛らしいお化け達だね」
 ロイがマントから用意していたお菓子を取り出し渡す。
「ほら、ハッピーハロウィン!」
 エドワードも持たされていたお菓子を取り出す。目線を合わせるようにしゃがんで「お、かっこいーなその衣装」とエドワードが言うと、エヘヘと子供たちが嬉しそうにする。
「エドワードお兄ちゃんも王子様だ! カッコいい!」
ロイ同様、イーストシティでは有名なエドワードも分かっていたらしく、子供たちが寄って来る。
「おう。シャーロットはお姫様だな。可愛い」
「うん! 似合う?」
「似合う似合う」
 誉められてシャーロットと呼ばれた女の子が満面の笑みを浮かべお辞儀をするのに、エドワードもお辞儀を返して。笑ってお菓子を配った。
「ありがとう!」
パタパタと子供たちが去って行く。
「気をつけろよー」
「うん! またね、エドワードお兄ちゃん!」
「おう!」
 子供たちは振り返って小さな手を振っていた。エドワードも笑って振り返す。
「ははっ、可愛いな」
「・・・」
「? なんだよ?」
 子供たちを見送っていると、ロイが無言でこちらを見ていた。何か言いたげな事に尋ねると、
「・・・子供たちにはそんなに可愛らしい笑顔を振りまくのに、何故私には向けてくれないんだ」
「はぁ?」
 つまらなさそうな様子でロイが呟くのに、エドワードは思い切り聞き返してしまう。
「そりゃ子供相手だからそうだろ」
 何を言っているんだ?とエドワードは首を傾げるが、ロイはしばしの間の後、視線を外す。
「・・・私は恋人なのに」
「ばっ、こんな所でそんな事言うんじゃねー!っつーか、いい歳して拗ねてんじゃねぇよ!」
「私が子供だったら、君にも優しくして貰えたのかな」
 走り去っていった子供たちの方向を(振りまかれた笑顔を思い出して)、名残惜しそうに言う男。
「・・・アンタ、鬱陶しい」
「う」
 ボソリと呟くと、ロイはショックを受けたような顔になった。




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2010年10月10日 C.C.SPARK5 発行。

仔エドプチオンリー合わせの個人誌です。
色々テーマを迷走した結果、4日で書き(描き)上げた本(^^;)。
仔エドに更に折角10月だし!と好きなハロウィンを乗っけてみました。
カオスな世界ですみません(汗)。

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