★ Vintage -2- ★
「あれ?大佐。こんばんは」
「・・・アルフォンス」
夜。
宿の近くの商店街で買出しをしていたら、兄の上官に会った。
「こんな所でどうしたんですか?」
確か、彼の自宅は反対方向だったように思う。尋ねるといつも不適な感じ・・・何事にも隙のない感じのする男が、珍しく逡巡した様子を見せた。
「いや・・・。今日は君達来なかっただろう? どうしたか、と思って」
「あー・・・。兄さんですね?」
君達、と言うより、気になっているのは兄の方だろう。
今朝の兄は様子がおかしかった。・・・大方口論でもしたんだろう。喧嘩するほど仲が良い、と思うんだけどな。この2人。
何だかんだで面倒見の良いこの兄の上司は気になった、と言った所か、と苦笑しながら。
「ケンカですか?」
「あ、あぁまぁ。・・・様子はどうだ?」
「だんまりです。・・・と言うか、今実は熱を出していて」
「熱?」
必要な時には話をしてくれるので、それまで放っておこうと好きに寝かせていたのだが、昼を過ぎても出てこないので一応食事の呼びかけをしに部屋に入ったら、ぐったりとしていた。
「大佐の言いつけを守らずに、大方薄着で読書してたんでしょう?」
「読書?」
「あれ? 違うんですか? 徹夜で本読んだって言ってましたけど」
「あ、あぁ・・・私が、悪いんだ」
小さく呟いたのに苦笑して。
「注意してくれたのにどうせ反発したんでしょう? ホント手間の掛かる兄ですみません」
「・・・いや・・・」
彼は困ったように笑った。
「そういえば、何故こんな時間に買い物を?」
「あ、いけない! 果物屋さん閉まっちゃう!」
「え?」
「しんどそうなので体温計と薬を買いに来たんですけど、何も食べてないからフルーツでも買ってこようかと思って・・・」
でも、先に飲ませた方がいいのかな、とカサ、と手にしていた薬局の紙袋を掲げる。
正直、自分にはどれ位熱が高いのかが分からない。辛いのかが分らない。
兄はそういうのを我慢してしまう人だから。
それを漆黒の瞳が見つめて。
「・・・薬を預かろう。鋼のに話があるのでね。先に渡してこよう」
「え? でも・・・」
「預かるよ」
勘の良い人だから、ちょっと戸惑っている事に気を利かせてくれたのかもしれない。
事情を知らないアルフォンスは、紙袋を渡した。
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2008年6月29日コミックシティ東京119発行。
吸血鬼事件話続編 。完結です。
大佐の元を去ったエドさん&アル視点。
ロイとエドの気持ちが若干すれ違い気味なお話。
プラス、何を血迷ったかマンガが4Pあります・・・。ど下手くそorz