ゆっくりと髪を撫でていると、トロリとした目をしたので、いずれ眠りに就くだろうな、と思っていたら。
しばらくして、腕の中の身体の体温が僅かに上昇して、クテリ、とエドワードの力が抜けていく。
「眠ったか・・・」
緩く抱き直し、覗き込むと金色の睫が下向いていた。
意志の強い金瞳が見えなくなると途端に年相応・・・以下に幼く見えた。
先程まで、酷く顔色が悪かったのが今はほんのりと朱みが差している事に安堵する。
「まったく君は・・・」
起こさないように、顔を撫で、頬に口付けを落とす。
無茶ばかりして、それをまた隠そうとする。
恐らく弟や周りに一番心配を掛けたくないのだろうが、せめて、自分に位は言って欲しい。
何の為の恋人なのか。
遠慮せず、休める場所であって欲しいのに。
「また長期戦で口説き落とそうかね」
恋人として手に入れる際にも、それはそれは苦労したけれど。
その分喜びもひとしおだった。
また自分にだけ甘えるその顔を見る為なら、何て幸せな苦労と言えるだろう。
「覚悟したまえよ」
眠る唇に誓うように自らの唇を重ねた。
***
毛布を掛け直して、そっと立ち上がる。
抱き上げて執務室に戻って行くと、鎧姿の弟。
「あ、兄さん眠りました?」
「あぁ」
カション、と小さな音を鳴らして覗き込む。
「良かった、少し顔色が良くなった」
ほ、と安心するように息を吐いた気がする。
「エドワード君眠ったんですか?」
近付いてくる副官も少し心配の表情が出ている。
「ホント、すぐバレるんだから、具合悪いなら素直に言えって言ってるのに」
呆れたように言う弟。
やっぱり皆にもバレているぞ、鋼の。
気付いたのが自分だけでは無かったのは、何だか少し不服だけれど、
でも追ったのが他の者だったら、誤摩化し続けただろう。
そこだけ優越感を持つとしよう。
「もう少ししたら上がれるから、今日はウチに泊まると良い。
中尉、後で書類を持っていってくれ」
前半はアルフォンスに、後半は副官に向けて言う。
「はい」
「・・・すみません」
申し訳なさそうに言うアルフォンスの肩を撫で、再び執務室へ歩く。
執務室のソファにそっと小さな身体を横たえ。
行儀悪くローテーブルに腰掛け、寝顔を見遣る。
眉間に皺が寄っていた先程とは違う、あどけない顔。
「君は人気者だなぁ」
そろ、と顔に掛かった前髪を梳く。
「気付いてくれると嬉しいね」
こんなにも君を想っている。
私も。
皆も。
ここが君の暖かい場所であるように。